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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻7号

2023年06月発行

症例報告

ケナコルト-A®に含有されるカルメロースナトリウムによるアナフィラキシーの1例

著者: 松浦功一1 竹中祐子1 石黒直子1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.492 - P.496

文献概要

要約 49歳,女性.左胸部粉瘤の手術創部に生じたケロイドに対してケナコルト-A®の局所皮内注射を開始した.4回目の局注30分後よりほぼ全身に潮紅と膨疹,呼吸困難とSpO2の低下がみられた.アナフィラキシーの診断で抗ヒスタミン薬,ステロイド全身投与が行われ,軽快した.後日,原因精査のため紹介受診した.ケナコルト-A®は皮内テストで強陽性を示した.主剤のトリアムシノロンアセトニド,添加物のポリソルベート80はプリックテストで陰性で,カルメロースナトリウムは陽性(2+)であった.カルメロースナトリウムによるアナフィラキシーと診断した.カルメロースナトリウムはさまざまな製品に含有され,カルメロースナトリウムを含有する製品についての情報提供を要する.また,日常診療で頻用されるケナコルト-A®によるアナフィラキシーの発生があり,含有されるカルメロースナトリウムも原因となりえることの周知を要する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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