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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻7号

2023年06月発行

文献概要

症例報告

Alternaria alternataPurpureocillium lilacinumによる深在性皮膚真菌症が同時期に発症した1例

著者: 奥平尚子1 澤田智也1 大橋理加1 辻岡馨1 安澤数史2

所属機関: 1日本赤十字社和歌山医療センター皮膚科 2金沢医科大学皮膚科

ページ範囲:P.545 - P.551

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要約 69歳,男性.間質性肺炎に対してプレドニゾロンとシクロスポリンを内服中.初診の約7か月前に両膝付近に自覚症状のない発疹が出現し増大してきた.左膝側は中央のカリフラワー状のびらん局面を取り囲むように鱗屑,痂皮を伴う10 cm大の病変,右膝側は全面が厚い鱗屑,痂皮に覆われた8 cm大の病変を呈していた.左膝病変では病理組織学的に不規則で著明な角質肥厚,表皮肥厚,形質細胞や多核巨細胞を伴う肉芽腫形成を認め,PAS染色陽性の菌糸が少数みられた.右膝病変も類似の病理組織所見を示した.生検組織培養および生検組織のPCR検査で左膝病変からAlternaria alternata,右膝病変からPurpureocillium lilacinumを検出した.イトラコナゾール200 mg/日内服,温熱療法により6か月後に略治した.両菌種による感染が別部位に同時期に発症することはきわめて稀である.自験例のように,複数の免疫抑制剤を使用中で,複数の病変が異なった臨床像を呈している場合は,異なる真菌が起因菌となっている可能性も考慮する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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