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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻8号

2023年07月発行

症例報告

治療中にサイトメガロウイルス感染に起因する口腔潰瘍をきたした水疱性類天疱瘡の1例

著者: 細川祐太郎1 壺井聡史1 内田千恵1 吉岡勇輔1 沢田泰之1

所属機関: 1東京都立墨東病院皮膚科

ページ範囲:P.581 - P.585

文献概要

要約 61歳,女性.初診の1か月前より全身に紅斑と水疱が出現し当科を紹介され受診した.水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid : BP)の診断にて入院後プレドニゾロン内服による加療を開始した.皮疹の経過は良好であったが入院時より認めた硬口蓋の潰瘍が難治であった.採血にてサイトメガロウイルスアンチゲネミア法(cytomegalovirus antigenemia : CMV-Ag)で陽性,潰瘍部分の生検にてCMV感染細胞を認め,CMV性潰瘍と診断した.診断後バルガンシクロビル塩酸塩製剤投与にて皮膚潰瘍は略治した.原疾患の治療と経過がそぐわない潰瘍の治癒の遷延化がある場合には,内臓病変,眼病変の精査と並行して皮膚生検を行い,積極的に原因検索と治療介入を行う必要がある.

参考文献

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9)Schmidt E, Zillikens D : Lancet 381 : 320, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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