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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻8号

2023年07月発行

症例報告

治療経過中に抗BP180抗体や抗ラミニンγ2抗体が陽性となった後天性表皮水疱症の1例

著者: 改正純一1 手塚純子1 笹橋真紀子1 奥野知子2 白瀬智之2 石井文人3

所属機関: 1大津赤十字病院皮膚科 2大津赤十字病院病理部 3久留米大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.591 - P.596

文献概要

要約 39歳,女性.2016年に口腔粘膜や四肢,体幹に水疱が出現し,入院した.精査で抗BP180抗体弱陽性を伴う後天性表皮水疱症と診断しプレドニゾロン全身投与とテトラサイクリン,ニコチン酸アミド,コルヒチン,DDS内服により皮膚症状は寛解し,以降外来で漸減した.2021年頃から体幹にびらんを伴う紅斑が多発し再度入院した.病理組織学的には表皮下水疱,蛍光抗体直接法ではIgGとC3が基底膜部に線状に沈着し,蛍光抗体間接法では真皮側に陽性で,免疫ブロット法ではⅦ型コラーゲンとラミニン332のγ2と反応した.ELISA法は抗Ⅶ型コラーゲン抗体価が69と陽性であった.免疫グロブリン製剤を投与後改善がみられ,現在外来でプレドニゾロン内服を漸減している.自験例では後天性表皮水疱症による著明な炎症が起こりBP180やラミニン332が傷害され二次的に複数の自己抗体が産生されたと推察した.複数の抗体が検出された際には,臨床症状や免疫学的所見を踏まえ総合的に判断する必要がある.

参考文献

1)氏家英之,他:日皮会誌 127 : 1483, 2017
2)清水 宏:新しい皮膚科学,3版,中山書店,p 6, 2018
3)Tsuruta D, et al : Curr Med Chem 15 : 1968, 2008
4)辻 真紀,他:臨皮 64 : 459, 2010
5)Egan CA, et al : Medicine(Baltimore) 82 : 177, 2003
6)Hashimoto T, et al : Br J Dermatol 131 : 694, 1994
7)Nishida E, et al : J Dermatol 45 : 472, 2018
8)Jonkman MF, et al : Arch Dermatol 136 : 227, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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