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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻9号

2023年08月発行

文献概要

症例報告

ナローバンドUVB療法が奏効した小児急性痘瘡状苔癬状粃糠疹の1例

著者: 楠本百加1 島田啓司2 小川浩平3 勝見祥子1

所属機関: 1市立奈良病院皮膚科 2市立奈良病院病理診断科 3奈良県立医科大学皮膚科

ページ範囲:P.688 - P.694

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要約 5歳,男児.初診1か月前より背部,腹部に紅色丘疹が出現し,約3週間で全身に拡大した.ステロイド外用,抗ヒスタミン薬内服で改善せず当科を受診し,皮膚生検にて急性痘瘡状苔癬状粃糠疹と診断した.エリスロマイシン内服で改善せずナローバンドUVB療法を16回(総UVB量3.2 J/cm2)施行し皮疹が平坦化,色素沈着となり寛解した.自験例および国内外の報告から小児の苔癬状粃糠疹において紫外線療法は有効で安全性の高い治療法と考えられる.しかし照射終了後に再発した例も報告されており,現在のところ最適な照射量や照射期間は定まっていない.また維持照射による再発予防効果も明らかでなく,プロトコールの確立が今後の課題である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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