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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻9号

2023年08月発行

症例報告

小児皮膚肥満細胞症の1例—当院で経験した皮膚肥満細胞症19例の臨床的検討も含めて

著者: 髙見澤美月1 善家由香理1 新井達1 佐藤佐由里2

所属機関: 1聖路加国際病院皮膚科 2山王病院皮膚科

ページ範囲:P.707 - P.711

文献概要

要約 9か月,男児.生後5か月頃から下腹部と腰部,大腿部に淡褐色結節が出現.病理組織学的所見では真皮上中層に肥満細胞が稠密に浸潤し,トルイジンブルー染色で異染性を示した.多臓器への浸潤を認めず,多発型肥満細胞腫と診断した.当科で過去15年間に経験した皮膚肥満細胞症患者19例について検討した結果,小児が18例,成人が1例で,分類別では斑状丘疹状肥満細胞症9例,単発型肥満細胞腫6例,多発型肥満細胞腫4例であった.斑状丘疹状肥満細胞症,肥満細胞腫の両群ともに7歳までに6割で皮疹の改善を認め,その中でも肥満細胞腫のほうが皮膚症状の予後は良好であった.蕁麻疹発作については全体の4割でみられ,そのうち5歳までに7割が改善し,予後良好であることがわかった.一方で,蕁麻疹発作が遷延する症例については全身性肥満細胞症の可能性もあるため,注意深い経過観察が必要と考えた.

参考文献

1)玉置邦彦(編):最新皮膚科学体系,13巻,中山書店,p 341, 2002
2)Middelkamp Hup MA, et al : J Eur Acad Dermatol Venereol 16 : 115, 2002
3)Valent P, et al : Cancer Res 77 : 1261, 2017
4)Golkar L, Bernhard JD : Lancet 349 : 1379, 1997
5)Méni C, et al : Br J Dermatol 172 : 642, 2015
6)Hartmann K, Henz BM : Br J Dermatol 144 : 682, 2001
7)本多 皓,他:日皮免疫アレルギー会誌 3 : 413, 2020
8)Longley BJ Jr, et al : Proc Nat Acad Sci USA 96 : 1609, 1999
9)出光俊郎,加倉井真樹:Derma 120 : 76, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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