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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻9号

2023年08月発行

文献概要

症例報告

Bowen病が併存した左下腿Merkel細胞癌の1例

著者: 兵部理恵1 沼田貴史1 村松正法12 早川数馬1 前賢一郎1 権東容秀12 入澤亮吉1 原田和俊1

所属機関: 1東京医科大学皮膚科学分野 2戸田中央総合病院皮膚科

ページ範囲:P.719 - P.724

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要約 80歳台,女性.数年前に左下腿の結節を自覚し,初診の1か月前から急激に増大したため当科を受診した.初診時,左下腿に8×7×4 cm大,不整形に隆起する境界明瞭な暗紅色の皮膚腫瘤を認めた.病理組織像では真皮全層にN/C比の高い異型細胞が増殖し,免疫組織学的にCK20,synaptophysin陽性,TTF-1,Merkel cell polyomavirus(MCPyV)陰性であり,Merkel細胞癌(Merkel cell carcinoma : MCC)と診断した.さらに腫瘤に隣接した表皮にはBowen病が併存していた.全身精査で外陰部有棘細胞癌とS状結腸腺癌が発見された.MCCでは他の皮膚悪性腫瘍との併存例(combined MCC ; cMCC)が報告されている.cMCCの特徴は,一般的なMCCに比べ,潰瘍や角化を伴いやすく,下肢に多い点が挙げられる.MCC全体の約7割でMCPyVが陽性となるのに対し,cMCCでは陰性が多い.さらに,cMCCでは内臓悪性腫瘍を合併する可能性が高いため,詳細な全身検索を行うべきであると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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