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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科77巻9号

2023年08月発行

文献概要

症例報告

顎口虫による皮膚幼虫移行症の1例

著者: 矢野美有1 田畑伸子1 瀬川優里恵2 只木行啓3 長安英治4 長谷川英男5

所属機関: 1仙台赤十字病院皮膚科 2東北大学大学院医学系研究科皮膚科 3みなみ仙台皮膚科クリニック 4宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野 5大分大学医学部医学生物学講座

ページ範囲:P.725 - P.729

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要約 43歳,男性.宮城県在住.初診の約3か月前にスーパーで購入したシラウオを生食し,その2か月後から体幹に赤みを伴う移動性の腫脹が出現した.紅斑の進行方向側を正常部分をかけて約4cm切除したところ,病理標本において真皮浅層に虫体の断面が確認された.断面の所見から顎口虫と考えられ,シラウオに寄生した顎口虫を摂取したことによる皮膚幼虫移行症と診断した.切除後皮疹は速やかに消失し,再発はない.シラウオ生食に関連すると思われる皮膚幼虫移行症は,シラウオの産地である秋田県や青森県からの報告が多いが,市場に流通すれば地域に関係なく発症することが考えられる.これらの地域以外にも,シラウオの生食により皮膚幼虫移行症が発生しうることの周知が必要である.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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