icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻1号

2024年01月発行

文献概要

症例報告

ニボルマブによる乾癬様皮疹に対して紫外線療法が著効した1例

著者: 高橋美帆1 土橋人士1 大峡慎一2 池田志斈1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科 2順天堂大学医学部耳鼻咽喉・頭頸科

ページ範囲:P.25 - P.29

文献購入ページに移動
要約 54歳,女性.初診2年前に発症した中咽頭癌の肺転移巣に対して化学療法が無効であったため,初診8か月前からニボルマブが開始された.その後肺転移巣は縮小傾向であったが,副作用である高カリウム血症によりニボルマブ投与を一時中断し,初診1か月前よりニボルマブが再開されていた.再開2週間後より紅斑が出現し,全身へと拡大したため当科へ紹介受診となった.初診時,体幹・四肢に落屑を伴う小型の浸潤性紅斑が多発し,強い瘙痒を伴っていた.ステロイド外用を行ったが改善には乏しく,Köbner現象を伴った皮疹の新生がみられた.ニボルマブによる乾癬様皮疹と考え,紫外線療法を併用した.治療開始後皮疹,瘙痒ともに改善がみられ,現在も紫外線療法を行いながらニボルマブの投与を継続している.ニボルマブ投与中に生じた乾癬様皮疹には,紫外線療法が有効な場合があり,ステロイド外用で改善が乏しい場合には,治療の選択肢の1つとなる.

参考文献

1)伊崎聡志,他:日大医誌 75 : 156, 2016
2)山口由衣:日皮会誌 130 : 1627, 2020
3)Hofmann L, et al : Eur J Cancer 60 : 190, 2016
4)沖山奈緒子,田中亮多:日臨免疫会誌 40 : 95, 2017
5)園山浩子,他:皮膚臨床 61 : 1667, 2019
6)藤井瑞恵,他:皮膚病診療 42 : 644, 2020
7)Tanaka R, et al : J Dermatol Sci 86 : 71, 2017
8)Stotts MJ, et al : Hepatology 70 : 1477, 2019
9)Ma V, et al : Curr Probl Cancer : Case Reports 1 : 100004, 2020
10)Tanaka M, et al : Australas J Dermatol 60 : e67, 2019
11)Tanaka R, et al : Commun Biol 3 : 571, 2020
12)小野工業:オブジーボ適正使用ガイド,2018
13)Ciccolini KT, et al : J Am Acad Dermatol 81 : 1009, 2019
14)Phillips GS, et al : J Clin Oncol 37 : 2746, 2019
15)稲吉康比呂,他:耳咽頭頸 92 : 373, 2020
16)Chujo S, et al : J Dermatol 45 : e55, 2018
17)杉浦八十生,他:癌と化療 44 : 787, 2017
18)Murata S, et al : J Dermatol 44 : 99, 2017
19)Ohtsuka M, et al : JAMA Dermatol 151 : 797, 2015
20)Matsumura N, et al : Actas Derm Venereol 96 : 259, 2016
21)Voudouri D, et al : Curr Probl Cnancer 41 : 407, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?