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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻1号

2024年01月発行

文献概要

症例報告

プレドニゾロン単剤で加療し内服終了後も寛解を維持している小児尋常性天疱瘡の1例

著者: 木蜜徹1 土橋人士1 新井喜康2 神保圭佑2 山上淳3 清水俊明2 池田志斈1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科学教室 2順天堂大学医学部小児科学教室 3東京女子医科大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.31 - P.36

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要約 7歳,女児.難治性の口腔内潰瘍で当院小児科を紹介受診し,4か月後に四肢・体幹に水疱が出現したため当科を受診した.膿痂疹を疑い抗菌薬加療するも改善せず,血清抗デスモグレイン1抗体・3抗体ともに陽性であり,皮膚病理組織所見,蛍光抗体法の所見とあわせて,粘膜皮膚型尋常性天疱瘡と診断した.プレドニゾロン(PSL)1 mg/kg/日で治療開始,症状改善後PSL漸減し,1年4か月で内服終了.内服終了後2年経過しているが寛解を維持している.天疱瘡は,40〜60歳台に好発し,小児期発症は稀な自己免疫性水疱症である.小児への長期にわたるステロイド全身投与は成長障害をきたすことがありしばしばためらわれる.自験例では成人症例と同様に必要十分量のPSL内服で寛解導入し,速やかに減量した結果,身長・体重増加ともに問題なく経過している.小児という理由だけで寛解導入のステロイド投与量は減量せず,初期治療をためらわず確実に行うことが肝心である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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