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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻1号

2024年01月発行

文献概要

症例報告

発症20年で診断に至った肺結核を伴う尋常性狼瘡の1例

著者: 黒崎友木穂1 太田朝子1 宮﨑明子1 鉄本訓史2 加賀野井朱里3 酒井俊輔4 越智沙織1

所属機関: 1市立吹田市民病院皮膚科 2市立吹田市民病院呼吸器・リウマチ科 3すまクリニック皮膚科・形成外科 4大阪複十字病院内科

ページ範囲:P.57 - P.61

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要約 47歳,男性.27,34歳時に肺炎の既往あり.26歳頃に結核罹患者と接触した.27歳頃より左外眼角と左手掌に紅斑が出現し,外用療法では改善せず治療を自己中断し,皮疹は増大した.2か月前に前医を受診し,皮膚生検にて肉芽腫形成を認め,精査加療目的に当科紹介となった.初診時,左外眼角と左手掌に角化性紅斑局面を認め,手掌の紅斑は環状を呈していた.病理組織学的に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫像であり,抗酸菌染色は陰性であった.T-SPOT® TBは陽性,胸部CTでは空洞を伴う結節影を認めた.皮膚組織・喀痰における抗酸菌培養およびPCR検査で結核菌が同定され,肺結核を伴う尋常性狼瘡と診断し,抗結核薬治療にて皮疹は改善し,喀痰培養も陰性化した.自験例は発症から約20年経過し,診断に至った.治療抵抗性の持続する皮疹は皮膚結核も念頭に置き,問診や結核菌PCR・培養検査を含めた皮膚生検,肺結核の有無などの各種精査を積極的に行う必要がある.

参考文献

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2)厚生労働省:2021年結核登録者情報調査年報集計結果,https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000981709.pdf
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15)長澤智佳子,他:臨皮 61 : 235, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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