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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻1号

2024年01月発行

文献概要

症例報告

アダリムマブ投与下で陰圧閉鎖療法と分層植皮術を行い寛解が得られた右下腿壊疽性膿皮症の1例

著者: 木下真太郎1 小泉滋1 奥山智香子1 中村聡子1 稲福和宏1

所属機関: 1君津中央病院皮膚科

ページ範囲:P.77 - P.82

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要約 83歳,女性.既往に関節リウマチと軽度の認知症あり.当院初診1か月前,右下腿に潰瘍が出現し前医を受診した.軟膏処置やデブリードマンを行ったが,潰瘍が拡大し当院紹介受診となった.当院初診時,右下腿に疼痛を伴う潰瘍があり,潰瘍底は長趾屈筋腱と後脛骨筋腱が露出し壊死組織が付着していた.病理組織学的所見では,潰瘍部辺縁に好中球を主体とする炎症細胞浸潤を認め,創部培養では有意な菌の発育はなく,臨床所見なども含めて壊疽性膿皮症と診断した.プレドニゾロン30 mg/日を2週間投与したが改善なく,アダリムマブを導入した.その後潰瘍は徐々に縮小したが,大型で上皮化に時間を要すると考え,陰圧閉鎖療法と分層植皮術を行い,25日後に上皮化が得られた.壊疽性膿皮症に対してアダリムマブは有効であり,全身療法で病勢コントロールがついていれば,創傷治癒促進目的での外科的治療の併用は治療選択肢となりうると考えた.

参考文献

1)Yamasaki K, et al : J Dermatol 47 : 1383, 2020
2)Maverakis E, et al : JAMA Dermatol 154 : 461, 2018
3)壊疽性膿皮症におけるアダリムマブの使用手引き日皮会誌 131 : 479, 2021
4)Nakayama Y, et al : Clin Case Rep 9 : e04690, 2021
5)Eisendle K, et al : Adv Wound Care(New Rochelle) 9 : 405, 2020
6)Romanelli M, et al : Eplasty 18 : ic11, 2018
7)Nishimura M, et al : J Clin Med 11 : 6924, 2022

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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