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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻10号

2024年09月発行

文献概要

症例報告

多数の幼虫と1匹の若虫が同時寄生したタカサゴキララマダニ刺症の1例

著者: 鈴木一年1 伊東拓也2 荒尾俊夫3 五味方樹4 藤澤重樹5

所属機関: 1鈴木医院 2北海道立衛生研究所感染症部医動物グループ 3寄居本町クリニック 4五味皮フ科 5藤澤皮膚科

ページ範囲:P.767 - P.772

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要約 73歳,女性.202X年6月中旬早朝,自宅裏山で筍掘をした際,斜面で仰向けに転倒した.2日後に上半身のチクチクした多発性小丘疹を主訴に来院した.両肩,両上腕,胸腹背部,臀部,下肢に紅暈を伴う黒色点状のマダニ幼虫を多数認め,右大腿に基底に発赤を伴う約2 mmのマダニ若虫1匹とマダニ幼虫数匹を認めた.初診日から2日間にかけて取れる範囲内の吸着マダニを攝子で単純摘除した.初診日の4日後(吸着6日後),被髪頭部,顔,胸部の約2 mmの飽血状態に近い黒赤色マダニ幼虫を単純摘除した.摘除後に非特異的紅斑の拡大があったが,tick-associated rash illness(TARI)の出現はなかった.摘除した幼虫209匹,若虫1匹はいずれもタカサゴキララマダニと同定した.幼虫の吸着後全期間,若虫の吸着3日後に口下片を皮内に残すことなく,単純に引き抜く方法で摘除できたことより,多数のマダニ寄生を処理するのに同法は有用であると思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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