文献詳細
症例報告
文献概要
要約 70歳台,女性.初診1か月前に下痢を繰り返し排尿障害が出現したため受診した.初診時,左右の陰唇が正中で癒着していた.局所麻酔下で鈍的に剝離し,ワセリン外用と陰裂にガーゼを充塡したが再癒着した.入院治療に変更し創傷被覆材を用いても陰部のびらんは持続し難治であった.粉状皮膚保護剤のブラバ®パウダー塗布に変更したところ,2週間で速やかにびらんは治癒し,癒着は生じなくなった.塗布終了後も再発なく経過している.本症は婦人科では疾患概念が確立しているが,皮膚科では広く認知されていない.経過観察され数年後に外科的治療を要するほど悪化した報告が複数ある.そのため皮膚科医も本症を認知している必要がある.侵襲性の低さと高い有効性から,粉状皮膚保護剤は今後第一選択の治療法の1つとしてもよいと考えられる.
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