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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻11号

2024年10月発行

文献概要

症例報告

アファチニブによる紫斑型薬疹の1例

著者: 森下ナオミ1 中澤慎介1 藤山俊晴1 伊藤泰介1 本田哲也1

所属機関: 1浜松医科大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.835 - P.839

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要約 60歳,女性.肺腺癌stage ⅣAに対し上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(epidermal growth factor receptor tyrosine kinase inhibitor : EGFR-TKI)であるアファチニブが開始された.アファチニブは休薬を挟みつつ減量されて継続されていたが,初回投与13か月後,両下肢に膿疱を伴う多発癒合傾向の紫斑が出現した.紫斑は浸潤を触れず組織学的に明らかな血管炎像は認めなかった.アファチニブの中止とクロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏外用で皮疹は1週間程度で消失した.随伴症状,臓器障害は認めなかった.これらの所見,経過からアファチニブによる紫斑型薬疹と診断した.EGFR阻害薬(EGFR-TKI,抗EGFR抗体)投与後に紫斑を生じた本邦既報例は自験例を含め18例あり,9例で紫斑に加え膿疱を伴っていた.EGFR阻害薬投与中に紫斑や膿疱が生じた場合,紫斑型薬疹の可能性にも留意する必要があると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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