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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻11号

2024年10月発行

文献概要

症例報告

ステロイド外用の中止および皮膚生検を契機に自然消退した臀部Bowen病の1例

著者: 加藤有紀1 中村かおり1 福田知雄1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.867 - P.871

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要約 72歳,女性.2年前より左臀部に紅斑を自覚し,近医内科,前医皮膚科でステロイド外用を行うも軽快なく,当院紹介受診した.初診時,左臀部に径5×4 cm大の境界明瞭な紅斑を認め,ステロイド外用を中止し皮膚生検を行ったところ,表皮全層にわたる異型ケラチノサイトが認められ,Bowen病と診断した.しかし,皮膚生検から2か月後の全摘時には,臨床像が鱗屑を付す淡褐色斑に変化しており,病理組織学的にも表皮内の異型細胞が完全に消褪していた.免疫染色で,皮膚生検組織と比べ全摘標本組織では,CD8陽性細胞数の増加,Foxp3陽性細胞の減少が認められた.臨床,経過および病理所見より,ステロイド外用の中止および皮膚生検を契機に局所の腫瘍免疫が亢進し,Bowen病が自然消退した可能性を考えた.自験例は自然消退を治療として誘導し,患者負担を軽減させる腫瘍免疫療法の可能性を示す貴重な1例になると考え報告した.

参考文献

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9)Okazaki A, et al : Br Dermatol 176 : 1079, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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