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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻11号

2024年10月発行

症例報告

ステロイド局注療法が有効であった肉芽腫性口唇炎の1例

著者: 古舘和樹1 鎌田麻子1

所属機関: 1砂川市立病院皮膚科

ページ範囲:P.873 - P.876

文献概要

要約 56歳,男性.X年5月頃より下口唇の腫脹を自覚し,近医を受診するも診断に至らなかった.無治療経過観察の後,腫脹の増悪を認めたため,X年11月に当科を受診した.口唇皮膚生検で真皮浅層から筋層,結合組織に至る非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,肉芽腫性口唇炎と診断した.疾患原因として歯性感染症や歯科金属に対するアレルギーの関与を疑い精査を行ったが,明らかな異常所見は認めなかった.内服治療として,ベポタスチンベシル酸塩,トラネキサム酸,ミノサイクリン塩酸塩,トラニストを使用したが一切の改善は得られなかった.最終的にトリアムシノロンアセトニドによる5回のステロイド局注療法にて口唇皮膚所見は著明に改善した.治療終了後1年経過時点で再燃を認めていない.原因精査加療後の内服治療で改善が十分でない症例に対しては,比較的侵襲や副作用の少ないステロイド局注療法が選択肢になり得ると考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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