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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻13号

2024年12月発行

症例報告

食品に含まれたカルボキシメチルセルロースによるアナフィラキシーの1例

著者: 大堀侑紀1 峠岡理沙1 古谷佳美1 丸山彩乃1 益田浩司1 加藤則人1

所属機関: 1京都府立医科大学皮膚科

ページ範囲:P.993 - P.997

文献概要

要約 20歳,女性.フルーツオレやパスタなどを摂取した後に少し走ったところ,全身の蕁麻疹と呼吸困難感を自覚し,救急搬送された.SpO2低下や血圧低下を認め,食物依存性運動誘発アナフィラキシーなどを疑われ,精査のため当科に紹介された.摂取した食品でプリックテストを施行し,フルーツオレで陽性反応を示した.後日成分別にプリックテストを施行したところ,成分の一つであるカルボキシメチルセルロースで陽性反応を示したため,カルボキシメチルセルロースによるアナフィラキシーと診断した.カルボキシメチルセルロースを含む硫酸バリウムや塩酸リドカインなどの医薬品によるアナフィラキシーの症例は過去に報告されているが,食品によるアナフィラキシーの報告はきわめて少ない.医薬品のみならず食品においてもカルボキシメチルセルロースによるアナフィラキシーを発症する可能性があることをアレルギー診療にかかわる医師は認識する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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