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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻13号

2024年12月発行

症例報告

頭部血管肉腫肺転移による難治性気胸に対し外科手術が奏効した1例

著者: 浦田和美1 金子彰良1 梶原一亨1 城臺安見子2 大隅祥暢3 福島聡1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学講座 2熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器内科学講座 3熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器外科学講座

ページ範囲:P.1011 - P.1015

文献概要

要約 74歳,男性.左側頭部に2 cm大の暗紫色結節性腫瘤を認めて当科紹介受診した.皮膚生検で血管肉腫と診断し化学療法を検討していたが,初診2週間後に呼吸苦のため近医を受診した.CTで両側の気胸と多発空洞影を認めたため,両側胸腔ドレーン挿入後に当院転院した.右肺は胸膜癒着術,左肺は胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.術後13日目,右胸腔ドレーン挿入下でweekly paclitaxel(PTX)による化学療法を開始した.2か月半後,皮膚病変は縮小し,右胸腔ドレーンを抜去できたため自宅退院した.開始18か月時点でmonthly PTXを継続している.頭部血管肉腫の肺転移例では,気胸発症後の予後は極めて不良だが,自験例では空洞部の部分切除を行い早期の化学療法につなげたことで良好な経過を得たと考えられた.血管肉腫肺転移に伴う気胸合併例では,発症早期の外科的な加療が生命予後の改善に寄与できる可能性がある.

参考文献

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10)平田佳子,他:臨皮 72 : 341, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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