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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻13号

2024年12月発行

症例報告

ヨードホルムガーゼによる中毒の2例—当科経験症例のまとめ

著者: 池田宏器1 西純平1 井上卓也1 杉田和成1

所属機関: 1佐賀大学医学部内科学講座皮膚科

ページ範囲:P.1043 - P.1048

文献概要

要約 症例1:69歳,男性.左下腿の壊死性筋膜炎に対するデブリードマン後にヨードホルムガーゼ(30×60 cm)を15日間使用して,意識障害と発熱を生じ,使用中止後に改善した.症例2 : 56歳,男性.右側腹部,鼠径部,大腿部の壊死性筋膜炎に対するデブリードマン後にヨードホルムガーゼ(30×110 cm)を17日間使用して,意識障害と発熱,頻脈を生じ,使用中止後に改善した.尿中ヨウ素値はいずれも80×104 μg/l以上の高値であり,ヨードホルムガーゼによる中毒と考えた.当院でヨードホルムガーゼ使用例の尿中ヨウ素値を今回の中毒症例も含めて6例測定したが,非中毒症例の尿中ヨウ素値は最高で11×104 μg/lであった.中毒症例の皮膚欠損はいずれも10%以上と広範囲であり,非中毒症例の皮膚欠損は1〜5%と狭かった.ヨードホルムガーゼの多量,長期間の使用は中毒のリスクが高いため,皮膚欠損部に合わせてカットするなどの必要最小限の使用とすることが有用である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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