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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

エルロチニブとラムシルマブの併用療法中に穿孔性皮膚症と紫斑,皮膚潰瘍を生じた1例

著者: 森田裕介1 今福恵輔1 板本想太1 挽地史織1 眞井翔子1 宮澤元1 得地景子1 榊原純2 氏家英之1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究院皮膚科学教室 2北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室

ページ範囲:P.119 - P.124

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要約 64歳,女性.肺腺癌ステージⅣbと診断され,EGFR遺伝子変異陽性が確認されたため,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬のエルロチニブとVEGFR2阻害薬のラムシルマブの併用療法が開始された.開始2か月後より皮疹が出現,増悪したため,当科を紹介され受診した.痂皮を伴う結節や紫斑を認め,これらの皮疹より皮膚生検を実施し,穿孔性皮膚症および血管炎の病理像を認めた.エルロチニブやラムシルマブの影響を疑い,これらを中止したが,紫斑の新生や下腿潰瘍の形成,拡大が数週間続いた.その後,抗潰瘍治療を実施したところ,潰瘍の改善,上皮化を認めた.EGFR阻害薬やVEGFR2阻害薬の投与例では,痤瘡様発疹などの頻度の高い皮膚症状とあわせて穿孔性皮膚症や紫斑,皮膚潰瘍が稀ではあるが生じうる可能性を考慮しておくのが望ましい.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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