icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

ABCB6遺伝子にミスセンス変異を同定した遺伝性汎発性色素異常症の1家系

著者: 白水舞13 安井由紀2 下村裕3

所属機関: 1下関市立市民病院皮膚科 2長府えきまえ皮ふ科 3山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座

ページ範囲:P.131 - P.136

文献購入ページに移動
要約 36歳女性とその子供の11歳男児.母親は幼少時より上肢伸側に淡褐色の小色素斑の散在を認めていた.診察時,顔面,両四肢,足背,手背に雀卵斑様色素斑が散見された.一方で,体幹の皮疹はみられなかった.息子は1歳半頃から色素斑が出現.全身の皮膚に小色素斑と脱色素斑の散在を認めた.家族歴より常染色体顕性(優性)遺伝が強く示唆された.2名の患者のゲノムDNAを用いて遺伝子検査を行った結果,遺伝性対側性色素異常症の原因遺伝子であるADAR1遺伝子には異常を認めなかったが,ABCB6遺伝子に既知のミスセンス変異(c. 1358C>T;p. Ala453Val)がヘテロ接合型で同定され,遺伝性汎発性色素異常症と確定診断した.親子ともに同じ遺伝子型だったが,息子のほうがより症状が顕著であり,同一家系内でも重症度に差異があった.表現型については環境因子や何らかの修飾遺伝子が関連している可能性があり,今後の症例の蓄積が待たれる.

参考文献

1)市川篤二,平賀芳雄:皮膚科泌尿器科雑誌 34 : 360, 1933
2)川口雅一:日皮会誌 129 : 2125, 2019
3)Liu H, et al : PLoS ONE 9 : e87250, 2014
4)Urabe K, Hori Y : Semin Cutan Med Surg 16 : 81, 1997
5)Bukhari IA, et al : J Eur Acad Dermatol Venereol 20 : 628, 2006
6)Al Hawsawi K, et al : Pediatr Dermatol 19 : 523, 2002
7)Sethuraman G, et al : Clin Exp Dermatol 27 : 6, 2002
8)今福信一:臨牀と研究 96 : 803, 2019
9)遠山郁三:皮泌誌 29 : 95, 1929
10)Kono M, et al : Hum Mol Genet 22 : 3524, 2013
11)Cao L, et al : BMC Med Genomics 14 : 168, 2021
12)Zhang C, et al : J Invest Dermatol 133 : 2221, 2013
13)Cui YX, et al : PLoS ONE 8 : e79808, 2013
14)Lu C, et al : J Dermatol Sci 76 : 255, 2014
15)Liu JW, et al : Chin Med J(Engl) 129 : 33, 2016
16)Zhong W, et al : Clin Exp Dermatol 44 : e58, 2019
17)Aldokhayel S, et al : JAAD Case Rep 19 : 97, 2021
18)Krishnamurthy PC, et al : Nature 443 : 586, 2006
19)Jalil YA, et al : Am J Physiol Cell Physiol 294 : C579, 2008
20)Xiong W, et al : Front Med(Lausanne) 9 : 825174, 2022
21)Wang L, et al : Am J Hum Genet 90 : 40, 2012
22)鈴木教之,他:臨皮 59(増刊):54, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら