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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

ボリコナゾール内服中に生じた多発日光角化症の1例

著者: 谷口江利菜1 東郷さやか1 岡林綾1

所属機関: 1和泉市立総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.137 - P.141

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要約 70歳,男性.初診3年前に慢性進行性肺アスペルギルス症に対しボリコナゾール(VRCZ)の内服が開始された.VRCZ内服開始1年後から,禿頭部全体に小びらんや痂皮の形成を繰り返すようになった.皮膚生検を行い,日光角化症と診断した.VRCZの関与が疑われたが,難治性の肺アスペルギルス症のためVRCZの中止は困難で,イミキモド外用と遮光で経過をみた.イミキモド外用で皮疹は改善傾向だったが,外用開始7か月後に細菌性肺炎を併発し永眠された.VRCZは,その代謝物が紫外線を吸収し活性酸素を生じることで,表皮のDNAを損傷させ皮膚癌発症の起始に関わる作用と,VRCZそのものがCOX-2の転写活性を増強させて皮膚癌の進行を促進させる作用の2つを併せ持つと考えられている.VRCZ内服中に日光角化症を認めた際には,VRCZの中止が第一選択にはなるが,VRCZの中止が困難な際は,イミキモド外用や徹底的な遮光により,有棘細胞癌へ進行しないよう注意深く観察していく必要がある.

参考文献

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添付文書 2022年6月改定(第6版),MSD株式会社

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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