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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

肺癌術後の腹部ポート部再発から腋窩リンパ節転移をきたしたと考えられる1例

著者: 藤沼千尋1 鈴木貴子1 岩澤うつぎ1 石井元2

所属機関: 1地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立広尾病院皮膚科 2地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立広尾病院泌尿器科

ページ範囲:P.143 - P.148

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要約 73歳,男性.既往に2年前に原発巣は完治とされた左肺癌と現在治療中の前立腺癌(骨盤内リンパ節・骨転移あり)があった.初診の約半年前から左腹部の結節に気が付き,徐々に痛みが出現した.初診時,胸腔鏡のポート部と考えられる線状の瘢痕部の皮下に腫瘤を触知した.皮膚生検にて肺癌のポート部再発と診断した.同部位に放射線治療が行われたが,6か月後に同側の腋窩リンパ節腫脹,同側胸部皮下結節が出現した.再度皮下結節を生検したところ肺癌の転移の診断であった.経過から,ポート部再発からの皮下転移・腋窩リンパ節転移と考えられた.近年腹腔鏡・胸腔鏡手術が各診療科で普及しており,それに伴ってポート部再発の報告は散見されている.しかしポート部再発から,リンパ行性に皮下転移・リンパ節転移をきたした報告は,自験例の他にはなかった.ポート部再発に対しての啓発と根治的治療の重要性が示唆された.

参考文献

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10)上田倫央,他:泌紀 60 : 69, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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