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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

Pagetoid reticulosisの1例

著者: 桑原彩乃1 吉田憲司1 中村元泰1 市村知佳1 栗川幸子2 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座(大森) 2雑色皮フ科

ページ範囲:P.149 - P.154

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要約 44歳,女性.初診1年半前より左膝蓋部に自覚症状のない紅色皮疹が出現し徐々に拡大した.近医皮膚科を受診しマキサカルシトール軟膏の外用を開始するも改善なく精査加療目的で当院を紹介され受診した.初診時左膝蓋部に20×15 mmの扁平に隆起する可動性良好な硬い浸潤を伴う紅色局面があり,表面は厚い黄色の痂皮で被覆されていた.病理組織学的に表皮内に大小不同の核を有する胞体の明るい大型の細胞増殖を認めた.腫瘍細胞は免疫染色でCD3,CD5,CD8,CD30,Ki-67が陽性であり,遺伝子再構成はcβ1,Jγで陽性,Jδ1で陰性であり,pagetoid reticulosisと診断した.本症は皮膚T細胞リンパ腫の稀な1型で,自験例は部位,病理組織いずれも典型的な症例である.単発の浸潤を触れる角化性紅斑で外用治療で改善しない場合は皮膚リンパ腫の可能性もあり,積極的に皮膚生検を行い精査することが勧められる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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