icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

節性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の寛解中に発症した皮膚B細胞偽リンパ腫の1例

著者: 小倉康晶12 近藤峻平1 大塚正樹1 戸倉新樹12

所属機関: 1中東遠総合医療センター皮膚科・皮膚腫瘍科 2中東遠総合医療センターアレルギー疾患研究センター

ページ範囲:P.155 - P.159

文献購入ページに移動
要約 80歳,男性.当科初診5年前にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma : DLBCL)を発症,化学放射線療法により4年前から完全寛解であった.2か月前より左前腕に皮膚腫瘤が出現し増大したため,DLBCLの皮膚転移を疑い当科紹介となった.初診時,左前腕に2 cm大のドーム状の皮膚腫瘤を認めた.皮膚生検では,真皮全層に胚中心過形成を伴うリンパ濾胞を形成していた.リンパ球はCD20陽性,MUM-1陰性,濾胞中心ではBCL-6陽性だった.免疫グロブリン重鎖JH遺伝子再構成は認めず,B細胞偽リンパ腫と診断した.生検を契機に消退し以後再発を認めていない.過去にDLBCL患者に生じた皮膚偽リンパ腫の症例はないものの,巨大リンパ濾胞を伴う反応性リンパ節過形成の報告はみられ,自験例でも同様の免疫学的背景から生じた可能性が推察された.DLBCLの既往を持つ患者に生じた皮膚偽リンパ腫では,DLBCLの転移との先入観を抱きがちになるが,それに左右されることなく正確な診断をする重要性を実感した.

参考文献

1)日本血液学会.造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版 第II章リンパ腫
2)Møller MB, et al : Br J Haematol 124 : 151, 2004
3)戸倉新樹:日皮会誌 119 : 1059, 2009.
4)Lenz G, et al : N Engl J Med 359 : 2313, 2008
5)山上優奈,他:皮膚臨床 64 : 369, 2022
6)Kojima M, et al : Tumori 96 : 143, 2010
7)Vakiani E, et al : Hum Pathol 38 : 315, 2007
8)Kojima M, et al : APMIS 113 : 558, 2005
9)Nam-Cha SH, et al : Histopathology 52 : 436, 2008.
10)Lu X, et al : Blood 105 : 2924, 2005
11)Yagi K, et al : Histopathology 62 : 414, 2013
12)田中正明,他:皮膚臨床 27 : 1257, 1985
13)茅野秀一,他:皮リンフォーマ 9 : 134, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら