icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

意識障害を合併した高齢者水痘の1例

著者: 島本佳保1 染田幸子2 鈴木秀和3

所属機関: 1市立柏原病院皮膚科 2育和会記念病院皮膚科 3育和会記念病院神経内科

ページ範囲:P.167 - P.171

文献購入ページに移動
要約 74歳,女性.自宅で倒れていたため,救急搬送された.受診時意識レベルはJCSI-2で,全身に水疱が散在しており,水痘の疑いで当直医によりアシクロビル(ACV)が開始された.第3病日に当科受診し,紅斑を伴う水疱が多発しており,デルマクイックVZV陽性より水痘と診断した.高齢者水痘は水痘帯状疱疹ウィルス(varicella-zoster virus : VZV)の再活性化もしくは再感染により発症する.自験例は関節リウマチに対して免疫抑制剤投与中で,VZV感染者との接触歴はないためVZVの再活性化と診断した.入院後意識レベルが更に低下したため,ACV脳症やVZV性髄膜炎を疑い,検査施行するも異常所見はなかった.ACVと補液のみで意識障害は改善し,自験例をVZVによる脳症と診断した.検査に異常がなく,ACVを投与していたにもかかわらず遅発性に意識障害が生じた例を経験したので報告する.

参考文献

1)阿部真也,他:皮膚 42 : 591, 2000
2)若原真美,他:皮膚臨床 45 : 1237, 2003
3)漆畑 修:最新皮膚科学体系ウィルス性疾患性感染症,中山書店,p 25, 2003
4)水柿典子,他:皮膚病診療 36 : 417, 2014
5)渋谷博文,他:臨皮 49 : 787, 1995
6)三浦純一,千葉靖男:臨小児医 31 : 195, 1983
7)吉田正己,他:皮膚臨床 29 : 945, 1987
8)山中健一,他:内科 104 : 365, 2009
9)岡田悦子,他:日皮会誌 126 : 994, 2016
10)佐川展子,他:日皮会誌 127 : 2132, 2017
11)木村七絵,他:西日皮膚 80 : 354, 2018
12)浅野雅登,他:皮膚臨床 62 : 1949, 2020
13)小松崎眞,他:臨皮 54 : 1041, 2000
14)松尾敦子,他:皮膚病診療 44 : 44, 2022
15)森野紗衣子,他:NEUROINFECTION 23 : 121, 2018
16)友利浩司,他:臨神経 43 : 470, 2003
17)松村伸,他:臨皮 67 : 265, 2013
18)水野みどり,他:皮膚臨床 57 : 387, 2015
19)竹島慎一,他:臨神経 57 : 492, 2017
20)Nagel MA, et al : Neurology 68 : 1069, 2007
21)高橋健太,他:IASR 40 : 99, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら