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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

トリソミー8陽性骨髄異形成症候群に合併した陰茎壊疽性膿皮症の1例

著者: 横山彩乃14 濱菜摘1 吉澤優太2 柴崎康彦3 木村浄土4 鈴木隆晴5 関義信5 阿部理一郎1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 2新潟大学大学院医歯学総合研究科腎膠原病内科学分野 3新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野 4新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院皮膚科 5新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院血液内科

ページ範囲:P.172 - P.178

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要約 41歳,男性.初診2か月前から発熱とともに陰茎潰瘍を認め,前医での抗菌薬治療にて潰瘍は軽快した.経過中貧血を認め,骨髄検査でトリソミー8陽性骨髄異形成症候群と診断された.初診11日前に発熱,陰茎の潰瘍が再燃し,精査加療目的に当科に紹介され受診した.血液検査で白血球31,950/μl,CRP 19.6 mg/dlと上昇し,病理組織で真皮全層に好中球を主体とする炎症細胞の浸潤を認め,各種培養検査は陰性であった.壊疽性膿皮症と診断し,プレドニゾロン60 mg/日(1 mg/kg/日)の内服を開始すると速やかに潰瘍は上皮化した.近年,トリソミー8陽性骨髄異形成症候群に腸管Behçet病を合併する報告が増えているが,その他にもSweet病や壊疽性膿皮症の合併例も報告されている.トリソミー8が好中球のアポトーシスを抑制することにより,好中球性皮膚症の病態に関与している可能性が示唆される.トリソミー8陽性骨髄異形成症候群では,好中球性皮膚症を合併しないか慎重に経過をみる必要がある.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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