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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻2号

2024年02月発行

文献概要

症例報告

骨髄異形成症候群を合併したステロイド治療抵抗性壊疽性膿皮症にアダリムマブが奏効した1例

著者: 長岡さゆこ1 林周次郎1 岡本麻希1 森ひとみ1 安達夏紀1 野中一輝1 宮本沙織1 吉田愛1 渡邉千智1 井川健1

所属機関: 1獨協医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.179 - P.183

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要約 60歳,女性.1か月前より右頰部に痤瘡様の皮疹が出現し,徐々に拡大し潰瘍化した.組織学的検討や培養検査結果を含めて検討し,壊疽性膿皮症と診断した.経過中に汎血球減少を認め骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes : MDS)と診断された.プレドニゾロン1 mg/kg/日(50 mg/日)投与で治療開始したが難治であったため,血液内科と相談の上,アダリムマブを併用し症状は改善した.2019年壊疽性膿皮症の治療にアダリムマブが追加承認されたが,血液疾患を合併する症例への使用は少ない.もともとMDS合併の壊疽性膿皮症は難治例が多く,これまでは治療に難渋していたものと考えられる.血液疾患に対する抗TNF-α抗体の使用は慎重な対応が望まれるが,近年アダリムマブがMDSに有効であったとする報告も散見される.このことからも,MDSを合併する壊疽性膿皮症に対しては,アダリムマブによる治療を考慮してもよいのではと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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