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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻3号

2024年03月発行

文献概要

症例報告

バリシチニブ内服が奏効したTNF-α阻害薬誘発性掌蹠膿疱症様皮疹の1例

著者: 上野彩夏1 金子栄1 松本香奈枝1 角田佳子2

所属機関: 1益田赤十字病院皮膚科 2益田地域医療センター医師会病院リウマチ科

ページ範囲:P.217 - P.222

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要約 67歳,女性.51歳発症の関節リウマチに対し64歳よりTNF-α阻害薬のゴリムマブにて加療していた.67歳時に掌蹠の紅斑と膿疱,右下腿の紅斑が出現し,拡大するため当院を紹介受診した.TNF-α阻害薬によるparadoxical reactionも考えゴリムマブを中止し,ステロイド/ビタミンD3配合薬の外用を開始したが皮疹の増悪を認めた.掌蹠膿疱症様の皮疹であったためグセルクマブの投与に切り替え,2回の投与を行ったが,皮疹は不変,一部は悪化したため,グセルクマブを中止し,バリシチニブの投与に変更した.紅斑は速やかに軽減したが,変形の改善には半年の投与が必要であった.バリシチニブは関節リウマチにも保険適用のあるJAK阻害薬であり,paradoxical reactionに関与するとされているIFNも抑えるため,有効であったと考える.通常は薬剤中止や変更で改善することの多いparadoxical reactionだが治療抵抗性のこともある.そのようなときはJAK阻害薬が有効な治療選択肢となる可能性が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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