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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻3号

2024年03月発行

文献概要

症例報告

アトピー性皮膚炎に続発した衛星病巣を伴う毛細血管拡張性肉芽腫の1例

著者: 佐々木直起12 長谷川道子1 田村敦志1

所属機関: 1伊勢崎市民病院皮膚科 2産業医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.231 - P.236

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要約 37歳,女性.アトピー性皮膚炎の病変内に毛細血管拡張性肉芽腫が出現し,その後明らかな誘因なく衛星病巣が発生した.初診時,右肘窩の苔癬化局面内に12×10 mmの紫紅色結節があり,周囲に同じ色調の小結節が散在していた.原発病巣を切除後,湿疹病変に対してステロイド外用を行うことで衛星病巣は消退傾向を示した.衛星病巣を伴う毛細血管拡張性肉芽腫は医中誌WEBで検索しえた限り,これまでに本邦で20例報告されていた.多くは原発巣に対する外科的治療を契機に発症しており,自験例のように特に誘因なく発生した例は4例のみであった.また,大部分は特別な発生母地を有しておらず,アトピー性皮膚炎に合併した例は2例のみであった.組織像の検討では主病変から離れた深部や側方に病巣を有する例が自験例以外に4例あり,病巣の拡がりを組織学的に検索することが,再発や衛星病巣発症要因の解明に役立つのではないかと考えた.

参考文献

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13)宮城嗣名,他:皮膚臨床 34 : 183, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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