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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻3号

2024年03月発行

文献概要

症例報告

多形紅斑様皮疹を生じたヒル咬傷の1例

著者: 大澤絢香1 梅澤慶紀2 福地修1

所属機関: 1厚木市立病院皮膚科 2東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.253 - P.257

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要約 75歳,男性.初診10日前にヤマビルに左腋窩と左上腕の2か所を吸血された.その7日後から,咬部に紅斑,四肢,体幹に紅色丘疹と小型の紅斑が出現した.また同時期に39 ℃台の発熱や全身倦怠感を生じたため当科を受診した.血液検査では,AST 86 U/l,ALT 48 U/l,CRP 4.08 mg/dlと異常値がみられた.ヒル咬傷に続発した発熱と紅斑を考え,プレドニゾロン20 mg/日とベポタスチンベシル酸塩酸塩20 mg/日を開始した.治療2日後には解熱し,7日後にはヒル咬部の紅斑と全身の皮疹も消退した.自験例はプレドニゾロン投与後に臨床症状が改善したこと,刺入部の好酸球浸潤が強かったことからヒルの唾液成分に対するアレルギー反応として全身に紅斑が出現したと考えた.既報告では,ヒル咬傷によるリケッチア感染症の報告があるため,自験例のように高熱を生じた症例では感染症の鑑別を行うべきであった.

参考文献

1)谷 重和:バムサジャーナル 23 : 15, 2011
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3)藤曲正登:最新皮膚科学体系,16巻,中山書店,p 162, 2013
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6)前田 学:皮膚臨床 63 : 1161, 2021
7)山藤栄一郎,他:感染症誌 93(臨増) : 383, 2019
8)山本向三,他:臨皮 59 : 1161, 2005
9)飯島孝四郎,伊藤理恵:皮膚臨床 63 : 123, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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