icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻4号

2024年04月発行

文献概要

症例報告

腎移植後の免疫抑制薬内服中に生じたBrunsting-Perry型類天疱瘡の1例

著者: 定本真梨子1 吉田憲司1 漆畑真理1 志水陽介1 石井健12 杉江瑠美3 古賀浩嗣4 石井文人4 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座 2東京歯科大学市川総合病院皮膚科 3わたなべ内科皮膚科クリニック 4久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.315 - P.320

文献購入ページに移動
要約 20歳,女性.鰓耳腎症候群で3歳時に腎移植を行い免疫抑制薬内服中.当院初診5か月前に顔面に限局して水疱が出現し,水疱性膿痂疹を疑われた.近医での加療にていったん軽快したが,その後も症状を繰り返すため当院に紹介された.生検で表皮下に水疱形成があり,直接蛍光抗体法で表皮真皮境界部にC3の線状沈着があり,自己抗体精査の結果,抗BP230抗体が単独で陽性であった.顔面に限局する臨床像と各種検査結果からBrunsting-Perry型類天疱瘡と診断した.ステロイド軟膏,タクロリムス軟膏外用やジアフェニルスルホンの内服では水疱新生が抑えられなかったが,ミノサイクリン塩酸塩内服が著効した.自験例はこれまでの報告と比較すると若年女性で瘢痕を残さず治癒する点が特徴であった.水疱性膿痂疹による表皮障害や炎症反応,あるいは日光曝露,化粧などの物理的刺激が抗BP230抗体産生の誘因となり基底板より浅い位置にびらんを生じたため,水疱が瘢痕を形成せず治癒したと考えた.

参考文献

1)玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学体系第6巻,中山書店,p 103, 2002
2)Brunsting LA, Perry Ho : AMA Arch Derm 75 : 489, 1957
3)Aromolo IE, et al : Int J Dermatol 61 : 1353, 2022
4)Baldwin H & Lynfield Y : Arch Dermatol 127 : 911, 1991
5)Takeichi S, et al : Eur J Dermatol 19 : 500, 2009
6)橋本 隆:日皮会誌 116 : 1161, 2016
7)Sugita Y, et al : Eur J Dermatol 11 : 557, 2001
8)Sato-Shibuya M, et al : J Dermatol 43 : 426, 2016
9)Makita E, et al : J Invest Dermatol 141 : 1167, 2021
10)Hayakawa T, et al : Eur J Dermatol 26 : 155, 2016
11)Lee EH, et al : Ann Dermatol 24 : 45, 2012
12)Devaux S, et al : Acta Derm Venereol 91 : 82, 2011
13)Demitsu T, et al : J Eur Acad Dermatol Venereol 23 : 79, 2009
14)Raef HS & Elmariah SB : J Drugs Dermatol 20 : 1113, 2021
15)寺原慶子,他:皮膚臨床 50 : 41, 2008
16)Webster G & Rosso JQ : Dermatol Clin 25 : 133, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?