icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻4号

2024年04月発行

文献概要

症例報告

非定型的臨床像を呈した上眼瞼有棘細胞癌の1例—症例報告と人工真皮移植後開放療法についての考察

著者: 佐々木直起12 長谷川道子1 田村敦志1

所属機関: 1伊勢崎市民病院皮膚科 2産業医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.329 - P.334

文献購入ページに移動
要約 75歳,男性.上眼瞼の角化性局面を主訴に当科を受診した.初診時,右上眼瞼内側の瞼縁付近から上眼瞼皮膚側にかけて25×14 mmの淡紅色角化性局面を認めた.生検組織像より表皮内癌や浸潤の軽微な有棘細胞癌を疑い,局所麻酔下に腫瘍を切除し,人工真皮を貼付した.切除標本組織像から有棘細胞癌と診断し,断端陰性を確認した.術後2週の外来受診時に膿性分泌を認めたため,ポリミキシンB添加マクロゴール軟膏を外用したところ1週後には小豆大にまで潰瘍面が縮小したため保存的に上皮化を図り,術後5週で上皮化が完了した.術後数か月間は創収縮による開瞼制限が強かったが,その後,徐々に改善し,手術瘢痕も目立たなくなった.人工真皮には創の収縮抑制効果が期待されているが,菲薄な真皮と遊離縁を有する眼瞼では強い創収縮により二期的植皮が困難になりやすい.人工真皮を用いる際には植皮による二期的再建以外の創閉鎖を想定しておく必要がある.

参考文献

1)兼行慎太郎,他:日形会誌 42 : 103, 2022
2)安倍吉郎,橋本一郎:形成外科 58 : 1343, 2015
3)牧野良彦,他:形成外科 44 : 51, 2001
4)迎 伸彦,他:創傷 4 : 81, 2013
5)テルダーミス真皮欠損用グラフト添付文書:https://www.info.pmda.go.jp/
6)権太浩一,他:創傷 10 : 142, 2019
7)嘉鳥信忠:眼プラクティス 24 : 46, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?