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増刊号特集 最近のトピックス2024 Clinical Dermatology 2024
2.皮膚疾患の病態
文献概要
summary
特発性炎症性筋疾患には,特異的皮疹を呈する皮膚筋炎と,皮疹のない多発性筋炎が含まれるが,筋炎特異的抗体の同定により,より明確な病型分類がなされるようになってきている.筋炎モデル動物としては,筋特異的抗原を免疫して惹起するマウスモデルが使われてきたが,患者の免疫病態とは異なっていることより,われわれは,筋炎特異的自己抗体の標的の1つであるTIF1γへの自己免疫反応を基盤としたTIF1γ-induced myositisというマウスモデルを確立した.TIF1γ-induced myositisでは,抗TIF1γ抗体ではなく,TIF1γ特異的CD8+T細胞が病原性であることや,JAK阻害薬の有用性などを示している.今後,他の筋炎特異的自己抗体陽性症例に応じた皮膚筋炎モデルも確立することで,自己抗体で分類される皮膚筋炎サブグループごとの病態解明につながることが期待される.
特発性炎症性筋疾患には,特異的皮疹を呈する皮膚筋炎と,皮疹のない多発性筋炎が含まれるが,筋炎特異的抗体の同定により,より明確な病型分類がなされるようになってきている.筋炎モデル動物としては,筋特異的抗原を免疫して惹起するマウスモデルが使われてきたが,患者の免疫病態とは異なっていることより,われわれは,筋炎特異的自己抗体の標的の1つであるTIF1γへの自己免疫反応を基盤としたTIF1γ-induced myositisというマウスモデルを確立した.TIF1γ-induced myositisでは,抗TIF1γ抗体ではなく,TIF1γ特異的CD8+T細胞が病原性であることや,JAK阻害薬の有用性などを示している.今後,他の筋炎特異的自己抗体陽性症例に応じた皮膚筋炎モデルも確立することで,自己抗体で分類される皮膚筋炎サブグループごとの病態解明につながることが期待される.
参考文献
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