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増刊号特集 最近のトピックス2024 Clinical Dermatology 2024 4.皮膚疾患治療のポイント
神経線維腫症1型小児に生じる叢状神経線維腫に対するセルメチニブによる治療
著者: 延山嘉眞1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
ページ範囲:P.117 - P.122
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神経線維腫症1型(neurofibromatosis 1 : NF1)は,NF1遺伝子の病的バリアントが病因となる常染色体顕性遺伝性疾患である.NF1に生じる叢状神経線維腫はしばしば重大な臨床的問題を引き起こすが,長らく治療の選択肢は外科的処置に限られていた.そのような背景のなか,叢状神経線維腫に対するセルメチニブ(コセルゴ®:MEK阻害薬)の経口投与により,高い病勢コントロール率,および,有意に長い無増悪生存期間が得られることが示された.これを受けて,NF1に発生した叢状神経線維腫小児例を対象として2022年に同薬が保険収載された.臨床症状を有し,重大な合併症のリスクを伴うことなく切除できない叢状神経線維腫に対する治療として,1日当たり50 mg/m2(体表面積)のセルメチニブを経口投与することにより,小児期の一定期間において叢状神経線維腫を軽快させる,あるいは増悪させないことが期待できる.一方,有害事象が高頻度に生じることから注意深いフォローが必要になる.
神経線維腫症1型(neurofibromatosis 1 : NF1)は,NF1遺伝子の病的バリアントが病因となる常染色体顕性遺伝性疾患である.NF1に生じる叢状神経線維腫はしばしば重大な臨床的問題を引き起こすが,長らく治療の選択肢は外科的処置に限られていた.そのような背景のなか,叢状神経線維腫に対するセルメチニブ(コセルゴ®:MEK阻害薬)の経口投与により,高い病勢コントロール率,および,有意に長い無増悪生存期間が得られることが示された.これを受けて,NF1に発生した叢状神経線維腫小児例を対象として2022年に同薬が保険収載された.臨床症状を有し,重大な合併症のリスクを伴うことなく切除できない叢状神経線維腫に対する治療として,1日当たり50 mg/m2(体表面積)のセルメチニブを経口投与することにより,小児期の一定期間において叢状神経線維腫を軽快させる,あるいは増悪させないことが期待できる.一方,有害事象が高頻度に生じることから注意深いフォローが必要になる.
参考文献
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