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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻6号

2024年05月発行

文献概要

症例報告

ブシラミンによる薬剤誘発性落葉状天疱瘡の1例

著者: 松梨智子1 村上香織1 大内健嗣1 天谷雅行1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.378 - P.382

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要約 65歳,女性.2017年1月に関節リウマチと診断され,同年5月よりブシラミン内服を開始した.その半年後,頭皮,前胸部〜背部にかけて水疱が繰り返し出現し,当科を紹介され受診した.初診時,頭頂部には痂皮を付する紅斑があり,前胸部,上背部には小紅斑や水疱を認めた.Pemphigus disease area index(PDAI)は6点と軽症であった.病理組織所見で表皮内水疱がみられ,蛍光抗体直接法では表皮細胞間にIgGとC3が沈着していた.ブシラミン誘発性の可能性を考え,同剤を中止したところ症状は軽快した.以上からブシラミンによる薬剤誘発性落葉状天疱瘡と診断した.1991年以降,本邦でブシラミン,D-ペニシラミンによる薬剤誘発性天疱瘡は34例報告されている.原因薬剤の投与期間,皮膚症状の重症度に着目すると,投与後1年以内に発症しPDAIの低い天疱瘡は,薬剤中止のみで軽快することが多く,全身的な治療はせずに注意深く経過観察することも検討すべきと考えた.

参考文献

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10)北川敬之,他:皮膚病診療 27 : 1261, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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