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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻6号

2024年05月発行

文献概要

症例報告

右大腿内側に限局して生じた好酸球性膿疱性毛包炎の1例

著者: 大草康正1 高橋彩1 寺木祐一1 福田知雄1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.383 - P.386

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要約 23歳,女性.初診3か月前より右大腿部に限局して,瘙痒を伴い,辺縁優位に小膿疱を多数有する形状やや不整な淡紅褐色斑が出現した.当初は使用していた外用薬による接触皮膚炎を疑ったが,外用薬成分のパッチテストは陰性,皮膚生検で毛包と脂腺周囲に好酸球とリンパ球を主体とする炎症性細胞浸潤を認めたことより,好酸球性膿疱性毛包炎(eosinophilic pustular folliculitis : EPF)が疑われた.アセメタシン錠の内服が奏効したため,EPFと診断した.EPFは顔面に好発するため,他部位に生じた場合は逆に診断が難しくなる.自験例の生検組織は,classic EPFよりも,近年atypical clinical appearance of EPFとして報告されている症例の組織学的特徴である,毛包脂腺周囲の好酸球浸潤はあるが毛包脂腺内への好酸球浸潤が目立たないといった所見を呈していた.自験例のような非典型的な臨床像からEPFを想起することは難しくその診断には病理組織像に加え治療への反応性なども加味し,総合的に判断する必要があると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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