icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻6号

2024年05月発行

文献概要

症例報告

臀部に発生したdesmoplastic fibroblastomaの1例

著者: 吉濱絵理1 今井俊輔1 秀野泰隆2 小林隆2 林健1

所属機関: 1東京労災病院皮膚科 2東京労災病院消化器外科

ページ範囲:P.405 - P.409

文献購入ページに移動
要約 61歳,女性.15年前頃から右臀部に腫瘤を自覚し,当院を紹介受診した.MRIでは直腸右側に直径約12 cmの分葉状腫瘤を認め,境界は比較的明瞭であった.T2強調像では低信号の被膜構造を有し,内部は不均一な高信号と低信号が混在しており,骨盤内臓器との連続性はなかった.画像所見からはデスモイド腫瘍等を疑った.病理組織では線維性基質の中に紡錘形の腫瘍が疎に存在したが,異型性はなかった.ビメンチンは微小血管には陽性であったが,腫瘍の基質では陰性であり,その他α-smooth muscle actin,デスミン,M-actin,CD34はいずれも陰性であった.病理組織および免疫組織学的所見よりdesmoplastic fibroblastoma(DF)と診断した.当院外科と合同で手術を行い,全摘した.DFは比較的稀な軟部腫瘍であるが,その中でも臀部に発生した例はきわめて少ない.デスモイド腫瘍,他の線維性腫瘍との鑑別も重要である.

参考文献

1)Miettinen M, Fetsch JF : Hum Pathol 29 : 676, 1998
2)Evans HL : Am J Surg Pathol 19 : 1077, 1995
3)Timurkaynak Ö, et al : Eur J Dermatol 27 : 425, 2017
4)Magro G, Venti C : Pediatr Dev Pathol 2 : 62, 1999
5)Watanabe H, et al : J Dermatol 35 : 93, 2008
6)Kato I, et al : Histopathology 69 : 1012, 2016
7)Gronchi A, et al : Ann oncol 25 : 578, 2014
8)三橋智子:病理と臨 30 : 300, 2012
9)橋本 洋:病理と臨 16 : 1558, 1998
10)Yamamoto A, et al : Skeletal Radiol 42 : 141, 2013
11)田中厚誌,他:東海骨軟部腫瘍 28 : 47, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?