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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻6号

2024年05月発行

文献概要

症例報告

中枢性尿崩症を合併した成人Langerhans細胞組織球症の1例

著者: 佐々木千晃1 松立吉弘1 岡﨑秀規1 定本靖司1 上田玲2

所属機関: 1愛媛県立中央病院皮膚科 2愛媛県立中央病院血液内科

ページ範囲:P.419 - P.425

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要約 44歳,男性.4か月前より口囲に丘疹が出現し,徐々に増加した.2か月前より多飲・多尿を自覚していた.皮疹は抗菌薬の内服・外用では改善に乏しく,当科を受診した.顔面に7 mm大までの淡い紅色丘疹が多数散在し,口囲では点状の痂皮を伴っていた.皮膚生検では表皮内から真皮全層にかけて切れこみのある核を有する大型の組織球様細胞が浸潤しており,免疫染色ではCD1a陽性,S100蛋白陽性であった.高張食塩水負荷試験で抗利尿ホルモン濃度は上昇せず,バソプレシン負荷試験で尿浸透圧が上昇した.MRIで下垂体柄の腫大を認めた.以上より,多臓器型Langerhans細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis : LCH)と診断した.化学療法とデスモプレシン内服により皮疹,尿崩症症状は改善した.痤瘡を思わせるが,治療抵抗性で痂皮,出血を伴う多発性の丘疹を見た場合にはLCHも疑う必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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