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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻7号

2024年06月発行

文献概要

症例報告

ヒドロキシクロロキンにより良好な臨床経過を得た深在性エリテマトーデスの1例

著者: 桜莉唯心1 杉山由華1 高木正之2 戸倉新樹3

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構静岡医療センター皮膚科 2独立行政法人国立病院機構静岡医療センター病理診断科 3浜松医科大学細胞分子解剖学

ページ範囲:P.471 - P.475

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要約 16歳,女性.20XX年に右上腕に皮下硬結を自覚し,他部位にも同病変が現れ,紹介医を受診した.血液検査では,dsDNAの軽度高値以外に異常所見はなかった.左上腕より皮膚生検し,リンパ球を中心とする炎症細胞が皮下脂肪組織の小葉中心性に浸潤していた.深在性エリテマトーデスと診断し,プレドニゾロン(PSL)20 mg/日内服を開始した.1か月後より経過観察を当院で行うこととなり,初診時,右上腕,左上腕,左大腿にそれぞれ硬結を認めた.ヒドロキシクロロキン(HCQ)200 mg/日内服を追加し,皮下硬結の縮小を認めたため,PSLを漸減した.現在HCQ 200 mg/日を継続しているが,皮下硬結は消退または一部消失している.LEPはエリテマトーデスの比較的稀な一型であり,経過中に脂肪組織の変性の程度に応じて種々の陥凹を呈する.HCQの使用により陥凹への進展を避けつつ,免疫抑制剤の早期減量を行うことは,特に成長期・若年者の患者には重要なことであり,早期のHCQ使用を考慮すべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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