icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻8号

2024年07月発行

文献概要

症例報告

妊娠性類天疱瘡の1例—好中球リンパ球比と相関する因子についての考察

著者: 木村温子1 滝吉典子1 原憲司1 千代谷成史2 中野創3 澤村大輔3 原田研1

所属機関: 1青森県立中央病院皮膚科 2千代谷皮膚科 3弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座

ページ範囲:P.557 - P.562

文献購入ページに移動
要約 27歳,女性.妊娠33週の初妊婦.初診の1週間前に前腕部の水疱を自覚し,徐々に範囲が拡大した.諸検査の結果,妊娠性類天疱瘡と診断.プレドニゾロン50 mg/日内服で治療開始したところ症状は漸次軽快,妊娠38週で自然分娩にて健常女児を出産した.本邦における2007年以降の妊娠性類天疱瘡の報告例を基に,初診時における好中球リンパ球比(neutrophil-to-lymphocyte ratio:NLR)と抗BP180抗体価,臨床経過,予後との相関を検討したところ,NLRは抗BP180抗体価と相関していたが,臨床経過,予後には相関しなかった.妊娠性類天疱瘡の初期治療におけるステロイド投与量の決定に際しては,好中球リンパ球比はあくまでも参考程度にとどめるべきことがうかがえた.妊娠性類天疱瘡におけるステロイドの初期投与量は,迅速に決定するのと同時に母子にとって適切な量である必要があり,産科や糖尿病内科など他科との連携がきわめて重要である.

参考文献

1)戸澤貴久,他:皮膚臨床 63 : 44, 2021
2)松浦佳奈,他:皮膚臨床 61 : 189, 2019
3)Kolodny RC : Am J Obstet Gynecol 104 : 39, 1969
4)古屋 勉,他:日皮会誌 105 : 733, 1995
5)藤原明子,他:臨皮 64 : 840, 2010
6)Sugiyama S, et al : J Am Acad Dermatol 86 : 1387, 2022
7)新山奈々子,他:皮膚病診療 29 : 943, 2007
8)二藤部弘暁,他:皮膚臨床 50 : 46, 2008
9)安芸実扶子,他:皮膚臨床 50 : 1278, 2008
10)飯田秀之,他:奈良病医誌 13 : 69, 2009
11)Takatsuka Y, et al : J Dermatol 39 : 474, 2011
12)花輪書絵,他:臨皮 65 : 8, 2011
13)横山洋子,他:西日皮膚 73 : 563, 2011
14)Matsumoto N, et al : Case Rep Obstet Gynecol 2013 : 267268, 2013
15)Minakawa S, et al : J Dermatol 41 : 850, 2014
16)堀 智行,他:皮膚臨床 56 : 2103, 2014
17)伊藤敏谷,他:静岡産婦会誌 4 : 24, 2015
18)小池真美,他:西日皮膚 77 : 548, 2015
19)小林奈津子,他:神奈川産婦会誌 52 : 2, 2015
20)Takayama N, et al : Eur J Dermatol 25 : 190, 2015
21)河原由恵:皮膚病診療 38 : 1027, 2016
22)勝田倫江,他:皮膚臨床 60 : 621, 2018
23)奥根真里,他:皮膚臨床 62 : 149, 2020
24)東郷朋佳,他:皮膚病診療 43 : 149, 2021
25)Kitayama S, et al : J Dermatol 49 : e157, 2022
26)安田真子,他:帯厚医誌 24 : 14, 2022
27)宇佐俊郎,江口勝美:Mod Physician 29 : 664, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?