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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻8号

2024年07月発行

文献概要

症例報告

Qスイッチアレキサンドライトレーザー照射により改善がみられた汗孔角化症の1例

著者: 外山雄一1 神谷浩二2 小宮根真弓2 大槻マミ太郎2

所属機関: 1済生会宇都宮病院皮膚科 2自治医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.563 - P.568

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要約 62歳,女性.5年前から自覚し増数傾向のある顔面・四肢・体幹の紅斑・褐色斑を主訴に当科受診した.約1 cm大までの円形・楕円形で環状隆起を示す角化性の紅斑・褐色斑が顔面・四肢・体幹に散在した.皮膚生検の結果,錯角化円柱,いわゆるcornoid lamellaの所見を認め,汗孔角化症(日光表在播種型)と診断した.治療は,マキサカルシトール軟膏外用,液体窒素療法,エトレチナート内服を試みたが効果は乏しかった.患者は露出部である前腕について整容的に治療希望が強く,前腕の病変に対してQスイッチアレキサンドライトレーザー(Q-switched alexandrite laser:QSAL)照射を3か月ごとに3回試みたところ一定の治療効果を認めた.汗孔角化症の治療においては従来の外用治療等では十分な効果が得られないことが多く,患者は整容面で不満を持つことが多い.レーザー治療は,保険適用外ではあるが,整容的に治療効果が高く,今後の治療選択肢として有望であると考えられる.この症例報告を通してQSALによる治療効果が広く周知され,今後も症例蓄積が進むことを期待したい.

参考文献

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10)Saelim P, et al : J Dermatolog Treat 24 : 318, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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