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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻8号

2024年07月発行

症例報告

外傷性血腫より進展した非クロストリジウム性ガス壊疽の1例

著者: 佐藤知世1 髙橋博之1 小林英理1 安食さえ子1 栁澤健二1 静川裕彦2

所属機関: 1JA北海道厚生連札幌厚生病院皮膚科 2JA北海道厚生連札幌厚生病院脳神経内科

ページ範囲:P.607 - P.612

文献概要

要約 87歳,男性.パーキンソン病およびレビー小体型認知症で脳神経内科通院中.前日に強打した右下腿の腫脹と血疱,潰瘍などで当科紹介となった.血液検査やCT検査では軽度の炎症を伴う血腫の所見であり年齢や既往症を考慮し,保存的治療で対処したが,初診の約3週間後に突然のシバリングにより救急搬送された.再度のCT検査や残存する潰瘍部と血腫内の細菌培養からKlebsiella pneumoniaeが検出されガス壊疽と診断した.抗菌薬投与と局所麻酔下に創部の切開洗浄処置を行い,入院16日後から陰圧閉鎖療法を施行し,入院52日後に治癒と判定した.ガス壊疽では,早期の積極的外科治療が推奨されているが,高齢患者では認知症などの併存疾患により治療選択に難渋する場合がある.したがって,重症感染症を発症した高齢患者に対しては病状に関する根気強い説明と早期かつ最小限の外科的処置が必要と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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