icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻9号

2024年08月発行

文献概要

原著

糖尿病の経過中にエクリン汗管の澄明細胞化をみた1例

著者: 柳原誠1 梅原康次1 花川博義1 牧野輝彦2 清水忠道2

所属機関: 1真生会富山病院皮膚科 2富山大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.637 - P.644

文献購入ページに移動
要約 背景:これまでに糖尿病におけるエクリン汗管上皮細胞の病理組織学的変化を発病初期より澄明化に至るまで経時的に観察した報告はない.目的:糖尿病を罹患した患者のエクリン汗管上皮細胞の澄明化の経時的病態を明確にする.方法:糖尿病と診断された一患者の35歳時,36歳時および43歳時,および48歳時に採取された皮膚生検標本を用いて病理組織学的に検討した.結果:35歳時および36歳時に患者の生検標本ではエクリン汗管上皮に澄明細胞化を認めなかったが,43歳時の皮膚生検標本ではエクリン汗管上皮細胞に軽度の澄明細胞化を確認した.48歳時では汗管にグリコーゲンの高度の蓄積による明瞭な澄明細胞化を認めた.考按:糖尿病発病13年後に汗管にグリコーゲンの蓄積による澄明細胞化を認めた.汗管は高血糖時にグリコーゲンを細胞内に蓄積し,血糖値の低下時に放出するという血糖の調節に関与している可能性を考えた.

参考文献

1)Headington JT, et al : Arch Dermatol 106 : 353, 1972
2)Furue M, et al : Am J Dermatopathol 6 : 131, 1984
3)Izaki S, et al : J Cutan Pathol 21 : 271, 1994
4)Signoretti S, et al : Br J Dermatol 135 : 139, 1996
5)Tjiu JW, et al : J Eur Acad Dermatol Venereol, 23 : 199, 2009
6)Kanitakis J : Am J Dermatopathol 39 : 319, 2017
7)Graham RM, et al : Br J Dermatol 112 : 397, 1985
8)宮平良満,他:検と技 29 : 692, 2001
9)Stalmans W, et al : Eur J Biochem 49 : 415, 1974
10)Matsuoka A, et al : J Dermatol 49 : e268, 2022
11)Sasai Y : Tohoku J exp Med 85 : 160, 1965
12)Silver A, et al : J Invest Dermatol 42 : 307, 1964
13)Cherian P, Beer TW : Am J Dermatopathol 32 : 56, 2010
14)Saitoh A, et al : Am J Dermatopathol 15 : 166, 1993
15)Alonso-Riaño M, et al : Am J Dermatopathol 37 : 701, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?