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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻9号

2024年08月発行

文献概要

症例報告

網膜中心動脈閉塞症をきたした好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例

著者: 松村和子1 安藤佐土美1 廣瀨茂樹2 松本悠介2 若林崇雄3 中西勝也4

所属機関: 1独立行政法人地域医療機能推進機構札幌北辰病院皮膚科 2独立行政法人地域医療機能推進機構札幌北辰病院眼科 3独立行政法人地域医療機能推進機構札幌北辰病院総合診療科 4独立行政法人地域医療機能推進機構札幌北辰病院病理診断科

ページ範囲:P.645 - P.649

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要約 49歳,女性.初診の約3か月前から気管支喘息を発症した.初診6日前から下肢にしびれ,4日前から下腿の発疹を自覚した.歩行に違和感を感じたため整形外科を受診したが,しびれの原因となるような所見は認められなかった.初診時,両下腿に軽度浸潤を触れる粟粒大から小豆大の紫斑が散在していた.末梢好酸球増多,CRP高値,歩行時の違和感があり,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症疑いで入院となった.入院当日の夕方に突然左眼の視力低下を訴えた.同日の眼科診察の結果,網膜中心動脈閉塞症と診断され高度医療機関に転院となった.紫斑部では組織学的に白血球破砕性血管炎の所見を認めMPO-ANCA陽性であった.網膜中心動脈閉塞症は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で稀にみられ発症時期の予測が困難なため,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と診断した時点で眼科と連携し,発症時は眼科初期治療と血管炎の治療を迅速に行う必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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