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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻9号

2024年08月発行

文献概要

症例報告

右第4趾軟骨浸潤を認めた肢端線維粘液腫の1例

著者: 高野正暉1 中島英貴1 小原勇二1 加瀨美咲1 松田真由子1 中島喜美子1 寺田潤紀2 中谷優2 高松和史2 中井浩三1

所属機関: 1高知大学医学部附属病院皮膚科学 2高知大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科

ページ範囲:P.661 - P.666

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要約 86歳,女性.間質性肺炎の急性増悪で入院した際に右第4趾の腫瘤を指摘された.初診時,右第4趾に2.5×2.5 cm大の潰瘍を伴う4×5 cm大の腫瘤を認めた.軟部肉腫を疑い右第4趾DIP関節部から腫瘤を切除したが,肉眼的に一部末節骨浸潤を認めたためDIP関節部で足趾離断した.病理組織像では,真皮に表皮と連続性のない粘液腫瘍がみられ,膠原線維の増生,小血管の増加を伴った粘液間質部に紡錘形の腫瘍細胞が散在していた.腫瘍細胞はCD34とCD10が陽性,腫瘍間質部はアルシアンブルー染色が陽性であり,肢端線維粘液腫と診断した.本症は成人の指趾,特に爪下や爪周囲に好発する軟部腫瘍である.外科的切除が推奨されるが,被膜をもたず,十分な切除範囲を確保することが困難であるため,再発することがある.稀ではあるが指趾腫瘍の鑑別疾患として考慮する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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