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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻9号

2024年08月発行

症例報告

乳頭病変を欠いた乳房Paget病の1例—自験55例の臨床統計を含めて

著者: 勝海洸司12 北山祥平13 高塚純子1 竹之内辰也1 五十嵐麻由子4

所属機関: 1新潟県立がんセンター新潟病院皮膚科 2新潟大学医歯学総合研究科皮膚科学分野 3富山大学学術研究部医学系皮膚科学講座 4新潟県立がんセンター新潟病院乳腺外科

ページ範囲:P.673 - P.678

文献概要

要約 82歳,女性.半年前から右乳輪内側に限局した皮疹を自覚した.初診時,右乳輪に15×10 mmの不整な浸潤性紅斑を認めたが,乳頭部に病変はなかった.生検で表皮内に淡明な胞体からなるPaget細胞がみられ,乳房Paget病と診断した.乳房部分切除が行われたが,全切除標本でも乳頭には病変を認めなかった.過去25年間に当科で経験した乳房Paget病55例の発生部位は,乳頭のみが25例(45%),乳頭〜乳輪が18例(33%),乳頭〜乳輪〜乳房が11例(20%)で,乳頭病変を欠くのは自験例1例(2%)のみであった.当科への受診経緯では約6割の患者が皮膚科を初診しており,その初期診断においては皮膚科医が重要な役割を担う.乳頭を含めた周囲の難治性皮疹を診た際には本症の可能性を念頭に置き,生検等による積極的な診断確定が求められる.

参考文献

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12)Choridah L, et al : J Med Case Rep 14 : 119, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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