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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科78巻9号

2024年08月発行

文献概要

症例報告

エクリン汗孔腫から生じたエクリン汗孔癌の1例

著者: 岡崎俊樹1 佐藤遥太1 笹野公伸2

所属機関: 1石巻赤十字病院皮膚科 2石巻赤十字病院病理診断科

ページ範囲:P.679 - P.683

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要約 73歳,女性.約2年前より頭部に赤褐色の結節を自覚した.当科初診時,頭頂部に15×8 mm大の境界明瞭な広基性紅色腫瘤を認めた.部分生検の病理組織では,真皮内にporoid cellを主体とした腫瘍細胞が分葉状に増殖し,部分的にcuticular cellや内腔縁がクチクラで縁取られた小管腔構造がみられた.エクリン汗孔腫として全摘した.全摘標本の病理組織では,腫瘍細胞が分葉状に増殖していた.表皮近くの比較的浅層では,腫瘍胞巣は大小不同で,核小体の明瞭化した異型poroid cellが増殖しており,核分裂像が散見された.形態学的に異型の強い箇所では,Ki-67の標識率が高く,同部位に一致してp16の発現はびまん性に低下していた.自験例をエクリン汗孔腫から発生したエクリン汗孔癌と診断した.エクリン汗孔腫とエクリン汗孔癌の鑑別は時として困難となるが,その鑑別にp16染色が有用である可能性があると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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