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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻2号

1964年05月発行

文献概要

メディチーナジャーナル 循環器

腎盂腎炎の診断

著者: 三村信英1

所属機関: 1虎ノ門病院循環器科

ページ範囲:P.306 - P.306

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 いわゆる慢性腎炎という臨床診断が臨床医の間で安易につけられている傾向が多いように思われる。慢性腎炎そのものの慨念があまりにも広く,尿中に蛋白および赤血球が一定期間にわたって証明されると,すべて慢性腎炎として取り扱われて不治の疾患とされて,あまり診断的な検索がされずに治療から見放され医師も患者もあきらめているようである。
 しかし,このいわゆる慢性腎炎として扱われている患者のうちで,腎実質内の細菌感染によっておこる慢性腎盂腎炎がかなりの頻度に含まれていることを忘れてはならない。しかも,欧米においては慢性腎炎よりも腎盂腎炎の頻度が多いといわれ,剖検例の検索でも死因が腎盂腎炎によると考えられるものが,全体の約10%も占めていることは注目すべきである。わが国でも慢性腎炎による腎不全と考えられた症例が,剖検で慢性腎盂腎炎であったとの報告がしばしば見られている。細菌感染による腎盂腎炎は化学療法の発達してきた現在では治療が可能であり,いわゆる慢性腎炎とされている患者中より鑑別して早期に治療をすることが望ましいわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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